今から1年と少し前の2024年7月。
カリフォルニア・ロサンゼルス発のJULY WETSUITSは日本に逆上陸という形で、東京・RHCロンハーマン千駄ヶ谷店にてグローバル・ローンチパーティーが開催された。

約1週間に渡るジャパンツアーには、創立者のデーン・ピーターソンに加え、ノア・コリンズ、ウエスト・アドラー、そしてジョシュ・ファブローの他、カリーナ・ロズンコ、ローラ・ミニョー、プリシーラらMUSEを加えた7名のコミュニティーメンバーが来日。
またその後も湘南・藤沢でSEAKONG、東京・八王子ではRIDE SURF+SPORTSとのイベントが共催され、日本全国から数多くの人々が集結した。
この一連のジャパンツアーに際してキーマンとなったのは若きスタイルマスターであり、日本人初のコミュニティメンバーとしてブランドに迎えられた小林直海の存在がある。
今回は彼を中心に、昨年7月に行われた灼熱のジャパンツアーを今一度振り返ってみた。

JULY WETSUITS は2022年にデーンのホームであるロサンゼルスでブランドがスタートしたが、グローバル展開のためには日本人の参加は長らく必須であった。
それから約2年が経ち、正式なメンバーとして突如白羽の矢が立った時の状況を直海はこう語った。
「日本でJULYの製造を手がけるRASH WETSUITSのスタッフと打合せをする中で、デーンがSNSで自分のことを見つけてくれました。同じ鎌倉に住んでいるということもあり、こいつしかいないだろうと。単純に嬉しかったですね。これまで自分が積み上げてきたものが世界的なサーファーに認めて貰えたような感覚でした。フリーサーファーとしての次のステップに進むためにもとても良いチャンスだと感じましたし、彼らのブランドの見せ方もめちゃめちゃ格好良いので自分のカラーにも合いそうだなと。そこからデーンとZOOMでミーティングを重ね、昨年のローンチイベントの開催が決定しました。デーンにとって7月 ……JULYは自身にとって一年の中でも特別な月。ホームのマリブの波が最高なのもJULYで、彼の誕生日も同月。自分の誕生日も7月なので、そのことを知ったデーンはかなりストークしていましたね」
こうして日本人初となるメンバーが新たに加入し、7月末のイベントではムービーの上映も決まったが、そのための撮影へ行ったのはその直前の5月のゴールデンウィーク明けと、かなり急ピッチでこのプロジェクトを進める必要があった。
「日本からカメラマンのケンユウさんとインドネシアのクルイに向かったんですが、現地では初対面となるノア・コリンズと合流して3人で撮影を進めました。彼は結構ハードなリーフブレイクを攻めるんですが、性格はすごく落ち着いていて、NCDというファッションブランドをやっていることもあり様々な物事にアンテナを張っているように感じました。自分も英語が充分に話せないにも関わらず、一緒に旅をして同じ時間を共有することで何かお互いに通じ合えるものがありました。
完成版のムービーでは自分がトップバッターで、ノアがトリを務めるという構成になっているんですけど、結果的に編集やアウトプットの仕方、見せ方も本当に心から納得いくものに仕上がりました。これはこれまで自分がやりたかったことを実現できた、そして夢が叶った瞬間でもありました。
去年のイベントに向けてすごく自分自身をかけてたし、日本人でもこういう姿を見せていかなきゃっていう使命感みたいなものがありました。英語が特段上手じゃなくても波乗りを認めてもらえれば、日本から飛び出して活躍できるっていう姿をコンテスト以外で見せたかったっていうのもあったんです。これが叶えられたことは、自分のキャリアの中でも最高の瞬間になりました」
ジャパンツアーの期間中はあまり波のコンディションに恵まれなかったが、湘南では数回のサーフセッションを行った。直海にとってノア以外と会うのは初めてとなったが、それぞれの印象はどうだったのだろう?
「デーンは他のメンバーよりも一足先に来日し、イベントの準備を淡々とこなしていました。シェイパーでもあり、フォトグラファーでもあるのですごく多才で、全部を突き詰めてやっている。彼のクリエイティブ全てを含めて偉大な存在ですね。

ローラとカリーナは超仲良しで、シスターズと呼ばれてる。世界を見ても本当に格好良いガールズサーファーは多くないと言われてるけど、その中でもトップを走る2人なんじゃないかな。


ウエストは結構シャイなところがあるけど、どんなボードに乗らせても上手い。今後はもっと日本でも知られるようになることは違いない。彼女のプリシーラは超ユニークで、デーン曰くあんなキュートでクールなカップルはいない言ってたぐらいの、すごくいいキャラ。

ジョシュ・ファブローはマリブキングと言われるスーパーレジェンドなんですけど、本当にここにいること自体が特別でした。

フィルマーのコール・ウォルトンは、今回のチームムービーを編集したんですけど、以前から彼の作品がめちゃめちゃ好きだったんです。結構古いテープとかでノイズを入れて撮ったりもしてますが、今回はきれいな感じで見せていてそのギャップも良かったです。あとデーンとクリエイティブを担当しているトーマス・ロディンはフランス人で、独特の感性で一つ一つのシーンを切り取っていました。いまあらためて振り返ってみても、何か鳥肌が立つような1週間でしたね」

最後にメンバー達は忙しいスケジュールの合間を縫って日本のファクトリーを訪れ、職人達がひとつひとつ手作りでウェットスーツを仕上げている姿をしっかりと目に焼き付けていた。
これはデーンと直海以外のほとんどのメンバーにとって初めての経験。また今回、真夏の湘南の海でそれぞれがベスト、タッパー、ショートジョンをテストし、スタッフと新しい素材のテストを含めたフィードバックを行った。メンバー全員が日本に集結し、JULY WETSUITSのクラフトマンシップとクオリティの高さに大きな感銘を受けたことで、今後はより良い関係で新たな製品の開発へと繋がっていくことは間違いない。

昨年のグローバル・ローンチから一年と、まだまだブランドとしては始まったばかり。
あれから新たに松本浬空、平原颯馬と、さらに2人のメンバーが加入し、JULY WETSUITSには次なる展開が待ち受けている。
STAY TUNED!!
Photos: Kenyu Takahashi Text: Mio Kawazoe